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消化器がん

消化器がん(食道がん・胃がん・大腸がん)

消化器がん(食道・胃・大腸)

食道がん・胃がん・大腸がんは、早期に発見すれば内視鏡治療で根治が期待できる消化器がんです。
当院では精度の高い内視鏡診断と、ガイドラインに基づく適切な治療方針の説明・速やかな専門施設への紹介を行います。
がんは「見つかっても終わりではない」——早期発見・早期治療が最大の武器です。

3つのがんに共通する大切なこと

  • いずれも早期は無症状が多い。検診・内視鏡での早期発見が重要。
  • 粘膜内の早期がんは内視鏡治療(ESD)で根治が期待できる場合がある。
  • 進行がんでも手術・化学療法・免疫療法の組み合わせで治療の選択肢は広がっている。
  • 疑わしい所見があれば速やかに専門施設へ紹介します。紹介後のフォローは当院で継続。

🫁食道がん

食道癌診療ガイドライン2022年版(日本食道学会)に準拠

原因・危険因子

  • 日本では約90%が扁平上皮がん飲酒・喫煙が最大の危険因子。
  • 男性に多く(男女比約5:1)、60〜70歳代に好発。
  • Barrett食道は腺がんの発生母地。GERD・肥満が関連。
  • 飲酒と喫煙を両方行うとリスクが相乗的に増加。
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  • アセトアルデヒド(飲酒代謝産物)はIARCでGroup 1の発がん物質。特に顔が赤くなる体質(ALDH2欠損)の方はリスクがさらに高い。
  • 食道がんは重複がんが多く、咽頭・頭頸部・胃との同時性・異時性重複に注意が必要です。
  • 予防因子:野菜・果物の摂取(ビタミン補給)。

症状

  • 飲み込みにくい(嚥下困難)
  • 食べ物がつかえる感じ
  • 声のかすれ(嗄声)
  • 胸の痛み・背中の痛み
  • 体重減少・食欲低下
  • 早期はほぼ無症状

検査・治療(ガイドライン2022準拠)

  • 内視鏡検査(上部内視鏡)+生検で確定診断。NBI・拡大観察を活用。
  • 病期評価:CT・PET-CT・EUSでTNM評価。
  • 早期(粘膜内)は内視鏡的切除(ESD)が標準治療。
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病期別の治療方針

  • cStage 0・I(早期):内視鏡的切除(ESD)が標準。広範病変では狭窄予防のため化学放射線療法を選択することも。
  • cStage II・III:術前化学療法(DCF療法が推奨)+手術が標準。化学放射線療法も選択肢。
  • cStage IVA:化学放射線療法(根治目的)。
  • cStage IVB:全身薬物療法。免疫療法(ペムブロリズマブ・ニボルマブ)の一次・二次治療への組み込みが確立している。

2022年ガイドライン改訂の主なポイント

  • 術前化学療法としてDCF療法(ドセタキセル+シスプラチン+5-FU)がNExT試験の結果を受けて推奨に格上げ。
  • 術前化学放射線療法後に根治切除が得られても病理学的完全奏効が得られない場合、術後ニボルマブ療法(免疫チェックポイント阻害薬)が強く推奨(CheckMate-577試験に基づく)。
  • 切除不能・再発例の一次治療に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)+化学療法が組み込まれた。

※ 当院では専門的な治療を要する場合、速やかに専門施設へ紹介します。

🫙胃がん

胃癌治療ガイドライン第7版(2025年3月改訂・日本胃癌学会)に準拠

原因・危険因子

  • 最大の危険因子はピロリ菌(H. pylori)感染
  • 除菌でリスクは大幅に低下するが、ゼロにはならない。除菌後も定期内視鏡が重要。
  • 萎縮性胃炎・腸上皮化生が強いほどリスクが高く、1年ごとの内視鏡フォローが推奨される。
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  • その他の危険因子:喫煙・多量飲酒・塩分過多の食事・家族歴・高齢・男性。
  • 除菌後胃がんは平坦で発見が難しい形態をとることがあり、専門医による内視鏡が重要。
  • 胃がんの一次予防(ピロリ除菌)+二次予防(内視鏡による早期発見)の組み合わせが有効。

症状

  • みぞおちの痛み・不快感
  • 胃もたれ・食欲低下
  • 体重減少・貧血
  • 黒色便・吐血
  • 早期はほぼ無症状

検査・治療(ガイドライン第7版準拠)

  • 内視鏡+生検で確定診断。病期評価にCT・EUSを使用。
  • 早期はESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で根治が期待できる。
  • 手術は腹腔鏡下手術・ロボット支援手術が標準的選択肢に。
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病期別の治療方針

  • 早期(cStage I):条件を満たせばESDで根治。病理高リスク所見があれば追加手術を検討。
  • 局所進行(cStage II・III):胃切除+リンパ節郭清(D2)が基本。術後補助化学療法(S-1またはCAPOX)を追加。
  • 切除不能・再発:全身薬物療法。HER2陽性・陰性、PD-L1発現、MSI-H等の分子プロファイルで治療選択。

第7版(2025年)の主な改訂点

  • 切除不能・再発胃がんの一次治療にニボルマブ(抗PD-1抗体)+化学療法が組み込まれた(HER2陰性・CheckMate649試験等)。
  • HER2陽性の一次治療にペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法(KEYNOTE-811試験)が推奨。
  • CLDN18.2陽性HER2陰性にゾルベツキシマブが新たな選択肢として追加。
  • 腹腔鏡下手術・ロボット支援手術の適応が拡大。

※ 薬物療法は専門施設で行います。当院は診断・紹介・フォローを担当します。

🔵大腸がん

大腸癌治療ガイドライン2024年版(大腸癌研究会)・大腸ポリープ診療ガイドライン2020(日本消化器病学会)に準拠

リスク因子・検診

  • 多くは腺腫(ポリープ)→がん化の経路をたどる(adenoma–carcinoma sequence)。
  • 対策型検診は便潜血検査(FIT・免疫法)が推奨グレードA。陽性なら必ず大腸内視鏡で精査。
  • 腺腫の内視鏡切除で大腸がん罹患率が約80%低下する(ガイドライン推奨度1)。
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  • リスク上昇因子:喫煙・飲酒・肥満・加工肉の多量摂取(IARCグループ1)・赤身肉過多・家族歴。
  • リスク低下因子:運動習慣・適正体重・食物繊維・カルシウム。
  • FIT陽性は再検でなく全大腸内視鏡が基本。「再検で陰性だから大丈夫」は誤りです。
  • 家族性大腸腺腫症(FAP)・Lynch症候群などの遺伝性疾患では若年発症・多発があり専門的なサーベイランスが必要。

症状

  • 血便・黒色便
  • 便が細くなる
  • 便通異常(下痢・便秘)
  • 腹痛・腹部膨満
  • 体重減少・貧血・だるさ
  • 早期は無症状が多い

便潜血検査の継続が、症状が出る前の発見につながります。

検査・治療(ガイドライン2024準拠)

  • 大腸内視鏡+生検/切除で確定診断。病期評価にCT・MRI(直腸)を使用。
  • 早期(粘膜内〜浅いSM)はEMR/ESDで内視鏡根治が可能。
  • 進行例は手術+補助化学療法。直腸がんでは化学放射線療法を追加。
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病期別の治療方針

  • Stage 0(Tis)〜浅いSM:EMR/ESDで内視鏡切除。病理で高リスク所見があれば追加腸切除。
  • Stage I〜III:腸切除+リンパ節郭清が基本。Stage II・IIIでは補助化学療法(CAPOX・FOLFOX等)を検討。
  • Stage IV(転移あり):全身化学療法を中心に、切除可能な転移巣では手術も検討(切除可能性を集学的に判断)。
  • 直腸がん:術前化学放射線療法(照射野縮小後に手術)や側方郭清を含む治療を検討。

薬物療法・遺伝子検査

  • Stage IV ではRAS変異・BRAF変異・MSI・HER2などの遺伝子プロファイルで治療を選択。
  • MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)陽性では免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ等)が有効。
  • 左側大腸がんでRAS野生型ではEGFR阻害薬(セツキシマブ・パニツムマブ)を化学療法に上乗せ。
  • 遺伝子パネル検査は三次治療以降で保険適用。新たな治療の選択肢が広がる。

※ 切除後サーベイランスは原則3年以内の内視鏡フォロー(日本消化器内視鏡学会ガイドライン)。

よくあるご質問

症状がなくても内視鏡検査は必要ですか?

はい。食道・胃・大腸のがんは早期にはほとんど症状が出ません。症状が出た頃には進行していることがあります。リスクのある方(ピロリ菌感染歴・家族歴・飲酒喫煙歴など)は症状の有無にかかわらず定期的な内視鏡検査を受けることが大切です。

「早期がん=手術しなくていい」は本当ですか?

条件を満たせばその通りです。粘膜内にとどまるがんは内視鏡治療(ESD)で根治が期待でき、胃・食道・大腸のいずれでも実績があります。ただし病理結果によっては追加外科手術が必要になることもあります。「手術=怖い」と受診を先延ばしにするより、早期発見で内視鏡治療ができる状態を目指すことが重要です。

がんと診断されました。どの病院に行けばいいですか?

当院で内視鏡を行い、がんが疑われる・または確定した場合は速やかに専門施設(がん拠点病院等)へ紹介します。紹介後も通院先・栄養管理・再発監視のフォローは当院で継続的にサポートします。「どこに行けばいいかわからない」という場合もご相談ください。

免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)はどのがんに使えますか?

消化器がんでは近年、免疫療法の対象が大幅に拡大しています。食道がん・胃がん・大腸がん(MSI-H)のいずれでも一定の条件を満たせば使用できる薬剤があります。ただし適応は病期・遺伝子プロファイル・治療歴によって異なり、専門病院での評価が必要です。

家族ががんでした。自分も検査すべきですか?

はい。一親等(親・兄弟・子)に消化器がんがいる場合、リスクが高まるとされています。また家族性大腸腺腫症(FAP)・Lynch症候群・遺伝性びまん性胃がん(CDH1変異)などの遺伝性疾患では若い年齢から多発・進行が起こることがあり、専門的な遺伝相談と早期のサーベイランスが必要です。家族歴がある方はお気軽にご相談ください。

便潜血検査が陽性でした。がんがあるということですか?

必ずしもがんがあるわけではありません。痔・ポリープ・腸炎などでも陽性になります。ただし陽性の場合は必ず大腸内視鏡による精密検査が必要です。「再検査でまた採便すればいい」は誤りで、大腸内視鏡での確認が推奨されます。放置すると進行がんを見逃すリスクがあります。

ピロリ菌を除菌すれば胃がんにはなりませんか?

除菌で胃がんのリスクは大幅に低下しますがゼロにはなりません。除菌後にも胃がんが発生することがあり、特に萎縮が強い方・高齢男性・ESD後の方は定期的な胃カメラ(年1回程度)による経過観察が重要です。除菌判定を必ず行い、その後のフォロー計画を立てましょう。

内視鏡検査は怖くて受けたくありません

鎮静剤(眠くなる薬)を使って苦痛を軽減した状態で検査を受けられます。「眠っているうちに終わった」とおっしゃる方が多いです。ご不安な点(痛みへの心配・持病・薬の服用など)は遠慮なくご相談ください。早期発見・早期治療のために内視鏡を受けることが最善策です。

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