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高血圧

高血圧(高血圧症)

高血圧は自覚症状に乏しい一方で、脳・心臓・腎臓などの合併症リスクを静かに高める「サイレントキラー」です。
診断は外来血圧だけでなく家庭血圧が重要。生活習慣の調整と必要に応じた薬物療法で、合併症の予防を目指します。

まずはここだけ押さえればOK

  • 高血圧は症状がなくても進行します。
  • 家庭血圧の記録が診断と治療のカギです。
  • 治療は減塩・体重管理・運動など生活改善が基本。
  • 目標は診察室血圧130/80未満・家庭血圧125/75未満(年齢・合併症によらず原則統一)。
  • 必要なら体質や状態に合わせて薬を選びます。
  • 自己判断で薬をやめず、一緒に安全に調整していきます。

以下に該当する方は要注意です

  • 健診や医療機関で「血圧が高い」と指摘
  • 頭痛・頭重感、肩こり、動悸・息切れ
  • むくみ(浮腫)、夜間頻尿
  • 胸痛・胸部圧迫感、労作時の息切れ
  • 家族に高血圧や心血管病が多い
  • 妊娠中の血圧上昇(要受診)

※ 高血圧は無症状でも進行します。家庭血圧の記録を持参のうえ、早めにご相談ください。

高血圧とは/診断のポイント

心臓から送り出される血液が血管の壁に及ぼす圧力が持続的に高い状態を指します。放置すると血管の動脈硬化が進み、脳卒中・心筋梗塞・心不全・慢性腎臓病などの原因になります。

診断基準と分類(一般的な目安)

計測方法 高血圧の診断の目安 分類の一例
診察室血圧(外来) 140/90 mmHg以上で高血圧 正常高値:130–139/85–89
Ⅰ度:140–159/90–99
Ⅱ度:160–179/100–109
Ⅲ度:≥180/≥110
孤立性収縮期:収縮期≥140かつ拡張期<90
家庭血圧 135/85 mmHg以上で高血圧 起床後と就寝前の平均で判定
24時間携帯型血圧計(ABPM) 日中 ≥135/85、夜間 ≥120/70、24時間平均 ≥130/80 白衣高血圧/仮面高血圧の判定に有用

※ 単回の高値のみで確定せず、複数回・家庭血圧の平均で総合判断します。

家庭血圧の正しい測り方

  1. 座位で1〜2分安静、脚は組まない・腕は心臓の高さ。
  2. 朝:起床後・排尿後・朝食前・服薬前に測定。
  3. 夜:就寝前に測定。各2回(1分以上あける)の平均を記録。
  4. カフは上腕巻きの自動血圧計を推奨。測定値はアプリや手帳に記録。

※ 白衣高血圧(診察室のみ高い)、仮面高血圧(診察室では正常・家庭で高い)の見逃し防止に家庭血圧が重要です。

原因とタイプ

本態性高血圧(約90%)

  • 遺伝素因+生活習慣(塩分過多、肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足・睡眠時無呼吸 など)

二次性高血圧(約10%)

  • 腎実質性・腎血管性、原発性アルドステロン症
  • 甲状腺機能異常・クッシング症候群・褐色細胞腫
  • 睡眠時無呼吸症候群、薬剤性(NSAIDs、ステロイド、点鼻薬ほか)

※ 若年発症、急な悪化、3剤以上使用しても血圧が高い、低カリウム血症などは二次性高血圧のサインとなることがあります。追加検査を検討します。

高血圧が招く主な合併症

  • 脳

    脳出血・脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)、認知機能低下のリスク上昇。

  • 心臓

    左室肥大、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)、心不全、心房細動。

  • 腎臓

    腎機能低下・蛋白尿(慢性腎臓病:CKD)の進行。

  • 血管・眼

    大動脈瘤・大動脈解離、末梢動脈疾患、網膜症(眼底出血・視力障害)。

治療の考え方

初診時の評価・検査

  • 血圧:外来・家庭・必要時は24時間携帯型血圧計(ABPM)。
  • 採血:腎機能・電解質・尿酸・脂質・血糖/HbA1c・肝機能。
  • 尿:蛋白尿・アルブミン尿。
  • 心電図:左室肥大、虚血所見の確認。必要時に心エコー。
  • 二次性高血圧の鑑別:レニン/アルドステロン比、甲状腺機能、腎エコー等を追加。

目標血圧(JSH2025 目安)

対象 診察室血圧 目標 家庭血圧 目標/ポイント
全年齢・全病態(原則)
75歳以上の高齢者・糖尿病・CKD・冠動脈疾患・脳卒中後 を含む
<130/80 mmHg 家庭血圧:<125/75 mmHg
JSH2025より全年齢で目標値を統一
個別に目標を緩める場合 ふらつき・起立性低血圧・フレイル・腎機能低下など有害事象のリスクが高い方は、主治医と相談しながら目標を個別に調整します。急激な降圧は避け、安全第一で段階的に。

※ 2025年8月29日発刊の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」より、それまで年齢・合併症ごとに分かれていた降圧目標が全年齢・原則130/80mmHg未満(家庭血圧125/75mmHg未満)に一本化されました。ただし個々の状態に応じた個別調整は引き続き重要です。

生活習慣の改善(まずここから)

  • 食塩:1日6g未満を目標(外食・加工食品に注意)。だし・酢・香辛料で減塩を工夫。
  • 体重:BMI25未満を目標。体重を5〜10%減らすだけでも血圧は改善しやすくなります。腹囲の目安は男性85cm未満、女性90cm未満。
  • 運動:ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分・週5日程度。軽い筋トレも効果的。
  • 節酒:アルコールは男性1日20g以下、女性10g以下が目安。ビール中瓶1本(500mL)・日本酒1合(180mL)・ワイングラス2杯弱がそれぞれ約20gに相当します。
  • 禁煙:動脈硬化とイベントリスクを下げるため完全禁煙が大切。
  • 睡眠:規則正しく。大きないびきや日中の強い眠気は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
  • 野菜・果物:腎機能に問題なければ積極的に。カリウムの多い食品は血圧を下げる効果があります。

薬物療法の進め方

  • 体質や合併症に合わせて、最適な薬を選びます。
  • 1種類で目標に届かない時は、安全に組み合わせて調整します。
  • 自己判断で中止せず、副作用や不安は早めにご相談ください。
薬の種類について詳しく見る
  • 第一選択薬(5系統):長時間作用型Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・少量サイアザイド系利尿薬・β遮断薬(ビソプロロール・カルベジロール等)。JSH2025よりβ遮断薬が第一選択に復活しました。
  • 合併症別の選択:蛋白尿・CKD・糖尿病の方はARB/ACE阻害薬を優先。狭心症・心筋梗塞後・心不全の方はβ遮断薬等を併用。
  • 複数薬の早期併用:1剤で目標に達しない場合は早めに2〜3剤の組み合わせへ。それでも難しい場合はMRA(スピロノラクトン等)を検討します。
  • 高齢者への注意:起立性低血圧・腎機能・電解質に注意しながら少量から段階的に増量します。フレイルなど有害事象リスクが高い方は目標を個別に調整します。
  • 妊娠・授乳中の注意:ARB・ACE阻害薬は妊娠中は禁忌です。妊娠中・妊娠を希望・妊娠の可能性がある方は必ず申告してください。使用できる薬が限られます。
  • 自己中断NG:症状がなくても継続が大切。副作用が気になる場合は自己判断で中止せず、必ずご相談ください。

受診の流れ

  1. ご予約:WEBまたはお電話。
  2. 初診:問診・診察・血圧測定、必要に応じ採血・尿・心電図。
  3. 家庭血圧:測り方をご説明し、記録をお願いしています。
  4. 治療開始:生活習慣の改善+必要に応じ薬物療法。目標血圧をご一緒に確認します。
  5. 定期フォロー:副作用や血液検査の結果を見ながら段階的に調整します。

すぐ受診または救急(119番)へ:突然の激しい頭痛・手足のしびれ・呂律困難、胸痛、強い呼吸苦、急な視力障害、意識障害などがある場合はすぐにご連絡ください。

よくあるご質問

家庭血圧はどのくらいの期間、何回測れば良い?

少なくとも1〜2週間、朝晩各2回の平均値が治療方針の参考になります。受診前だけでなく継続記録が理想です。

薬は一生続ける必要がありますか?

生活改善で十分に血圧が下がれば、減量・中止が可能な場合もあります。ただし自己判断での中止は禁物です。医師と相談しながら段階的に調整します。

薬を飲み始めたら、やめられなくなりますか?

「薬が手放せなくなる」という心配をされる方は多いですが、血圧の薬には依存性はありません。生活習慣の改善で血圧が安定すれば、医師の判断のもとで減量・中止を検討できます。自己判断でやめると血圧が急上昇することがあるため、必ず医師にご相談ください。

頭が痛いのは高血圧のせいですか?

高血圧のみが原因で頭痛が起きることは多くはありませんが、血圧が非常に高い状態(目安:収縮期180mmHg以上)では頭痛・頭重感を伴うことがあります。突然の激しい頭痛は脳卒中の可能性もあるため、速やかに受診または救急へご連絡ください。

運動はしても大丈夫ですか?

多くの方でウォーキングなどの中等度の有酸素運動は推奨されています。運動開始直後は血圧変動に注意し、心疾患リスクが高い方や血圧のコントロールが不十分な方は医師にご相談ください。

塩分を減らすコツは?

加工食品・外食を減らすことが最も効果的です。だし・酢・レモン・香味野菜で風味をつける工夫も有効。食品ラベルの「食塩相当量」を確認する習慣もおすすめです。

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