高血圧
高血圧(高血圧症)
高血圧は自覚症状に乏しい一方で、脳・心臓・腎臓などの合併症リスクを静かに高める「サイレントキラー」です。
診断は外来血圧だけでなく家庭血圧が重要。生活習慣の調整と必要に応じた薬物療法で、合併症の予防を目指します。
まずはここだけ押さえればOK
- 高血圧は症状がなくても進行します。
- 家庭血圧の記録が診断と治療のカギです。
- 治療は減塩・体重・運動など生活改善が基本。
- 必要なら体質や合併症に合わせて薬を選びます。
- 自己判断で薬をやめず、一緒に安全に調整していきます。
以下に該当する方は要注意です
※ 高血圧は無症状でも進行します。家庭血圧の記録を持参のうえ、早めにご相談ください。
高血圧とは/診断のポイント
心臓から送り出される血液が血管の壁に及ぼす圧力が持続的に高い状態を指します。放置すると血管の動脈硬化が進み、脳卒中・心筋梗塞・心不全・慢性腎臓病などの原因になります。
診断基準と分類(一般的な目安)
| 計測 | 高血圧の診断の目安 | 分類の一例 |
|---|---|---|
| 診察室血圧(外来) | 140/90 mmHg以上で高血圧 | 正常高値:130–139/85–89 Ⅰ度:140–159/90–99 Ⅱ度:160–179/100–109 Ⅲ度:≥180/≥110 孤立性収縮期:収縮期≥140かつ拡張期<90 |
| 家庭血圧 | 135/85 mmHg以上で高血圧 | 起床後と就寝前の平均で判定 |
| 24時間血圧(ABPM) | 日中 ≥135/85、夜間 ≥120/70、24時間平均 ≥130/80 | 白衣高血圧/仮面高血圧の判定に有用 |
※ 単回の高値のみで確定せず、複数回・家庭血圧の平均で総合判断します。
家庭血圧の正しい測り方
- 座位で1〜2分安静、脚は組まない・腕は心臓の高さ。
- 朝:起床後・排尿後・朝食前・服薬前に測定。
- 夜:就寝前に測定。各2回(1分以上あける)の平均を記録。
- カフは上腕巻きの自動血圧計を推奨。測定値はアプリや手帳に記録。
※ 白衣高血圧(外来のみ高い)、仮面高血圧(外来正常・家庭で高い)の見逃し防止に家庭血圧が重要です。
原因とタイプ
本態性高血圧(約90%)
- 遺伝素因+生活習慣(塩分過多、肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足・睡眠時無呼吸 など)
二次性高血圧(約10%)
- 腎実質性・腎血管性、原発性アルドステロン症
- 甲状腺機能異常・クッシング症候群・褐色細胞腫
- 睡眠時無呼吸症候群、薬剤性(NSAIDs、ステロイド、点鼻薬ほか)
※ 若年発症、急な悪化、薬3剤以上でも高値、低カリウム血症などは二次性高血圧の手がかり。追加検査を検討します。
高血圧が招く主な合併症
-
脳
脳出血・脳梗塞・一過性脳虚血発作、認知機能低下のリスク上昇。
-
心臓
左室肥大、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)、心不全、心房細動。
-
腎臓
腎機能低下・蛋白尿(慢性腎臓病)。
-
血管・眼
大動脈瘤・解離、末梢動脈疾患、網膜症(眼底出血)。
治療の考え方
初診時の評価・検査
- 血圧:外来・家庭・必要時は24時間血圧。
- 採血:腎機能・電解質・尿酸・脂質・血糖/HbA1c・肝機能。
- 尿:蛋白尿・アルブミン尿。
- 心電図:左室肥大、虚血所見。必要時に心エコー。
- 二次性鑑別:レニン/アルドステロン比、甲状腺機能、腎エコー等を追加。
目標血圧(目安)
| 対象 | 診察室血圧 目標 | ポイント |
|---|---|---|
| 一般成人(〜74歳) | <130/80 mmHg | 家庭血圧は概ね<125/75が目安。 |
| 高齢者(75歳〜) | <140/90 mmHg(可能なら130/80未満へ) | ふらつき・起立性低血圧に注意し漸増。 |
| 糖尿病・CKD(蛋白尿あり)・冠動脈疾患 等 | <130/80 mmHg | 腎・心血管イベント予防のため厳格管理。 |
| 脳卒中後 | <130/80 mmHg(病型・時期で調整) | 主治医の指示を優先。 |
※ 個別の合併症・年齢・副作用リスクで調整。急激な下げ過ぎは避け、安全第一で漸進的に。
生活習慣の改善(まずここから)
- 食塩:1日6g未満を目標(外食・加工食品に注意)。だし・酢・香辛料で減塩。
- 体重:BMI<25、腹囲(目安)男性<85cm/女性<90cm。体重-5〜10%で血圧は改善しやすい。
- 運動:有酸素30分/日・週5日+軽いレジスタンス。
- 節酒:男性20g/日、女性10g/日以下(日本酒1合≒約20g)。
- 禁煙:動脈硬化とイベントリスク低減のため完全禁煙。
- 睡眠:規則正しく。いびき・日中の眠気は睡眠時無呼吸を評価。
- 野菜・果物:腎機能に問題なければ積極的に。
薬物療法の進め方
- 体質や合併症に合わせて、最適な薬を選びます。
- 1種類で目標に届かない時は、安全に組み合わせて調整します。
- 自己判断で中止せず、副作用や不安は早めにご相談ください。
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- 第一選択:Ca拮抗薬、ARB/ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬(合併症で使い分け)。
- 合併症別:蛋白尿・CKD/糖尿病はARB/ACE優先。狭心症・心筋梗塞後はβ遮断薬等を併用。
- 多剤併用:達しない場合は2〜3剤併用へ。抵抗性はMRA(スピロノラクトン等)を検討。
- 高齢者:起立性低血圧・腎機能・電解質に注意し少量から漸増。
- 自己中断NG:症状がなくても継続・記録。副作用は自己判断で中止せず相談を。
- 妊娠・授乳:使用可能薬が限られます。妊娠を希望/可能性は必ず申告を。
受診の流れ
- ご予約:WEBまたはお電話。
- 初診:問診・診察・血圧測定、必要に応じ採血・尿・心電図。
- 家庭血圧:測り方をご説明し、記録をお願いしています。
- 治療開始:生活習慣+必要に応じ薬物治療。目標血圧を共有。
- 定期フォロー:リスクと副作用に注意し段階的に調整します。
すぐ受診/救急へ:激しい頭痛・しびれ・呂律困難、胸痛、強い呼吸苦、視力障害、意識障害など。
よくあるご質問
家庭血圧はどのくらいの期間、何回測れば良い?
少なくとも1〜2週間、朝晩各2回の平均値が治療方針の参考になります。受診前だけでなく継続記録が理想です。
薬は一生続ける必要がありますか?
生活改善で十分に下がれば減量・中止が可能な場合もありますが、自己判断の中止は禁物。医師と相談し段階的に調整します。
運動はしても大丈夫?
多くの方で中等度の有酸素運動は推奨。開始直後は血圧や症状に注意し、心疾患リスクが高い方は医師へご相談ください。
塩分を減らすコツは?
加工食品・外食を減らし、だし・酢・レモン・香味野菜で風味付け。ラベルの食塩相当量を確認しましょう。
